Shizuoka University

レーザートラッピング技術による微粒子の燃焼解析

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目的

本研究の目的は、レーザートラッピング技術を利用し、ガソリンの微粒子をトラップして燃焼させることでその燃焼の様子を観察するということである。本研究で用いる技術は単一ビームによる勾配力光トラップと呼ばれ、この技術は非接触で微粒子を保持する光ピンセットとして生物学、高分子物理学、物理学、マイクロ化学、マイクロマシンなどの広い分野で応用されている。研究においては微粒子を非接触で保持、移動制御させることが必要である。そこで私たちは、レーザートラッピング技術を利用した。

原理

光は運動量を持ち、光が物体に当たり、屈折して方向が変化したとき運動量は変化する。このとき運動量は保存されるので、球に対して反作用の力が生じる。その力は放射圧と呼ばれている。図1 に光の反射、屈折に基づく放射圧による力を示す。図1(a) は光が反射することによって発生する力で、図1(b) は光が屈折することで発生する力である。次に波長に比べて十分に大きな粒子の光トラップの原理を図2に示す。図1 におけるFtとFr を合成した力が図2 でのFat やFao である。光線a に着目すると、入射面と出射面では光線は屈折し、運動量が変化する。運動量保存則により、入射面ではFatが、出射面ではFao が物体表面に垂直方向に作用する。両者の合力としてFa が生じる。光線b についても同様のことが言え、Fb が生じる。この結果、FaとFb の合力F が微粒子に作用する。この合力F は物体を焦点f近傍に引き付けるように作用する。この力がトラップ力である。また、トラップをする際に使用されるレーザー光はレンズに通すことで集光される。開口数の大きなレンズで集光することにより、トラップ力を増強させることが可能である。

結果

右に実験光学系を示す。光源にはNd:YVO4 レーザー(λ=532nm) を使用。ND フィルターでビーム力を弱め、ビームエキスパンダーでビームの径を広げる。ミラーによりビームを下向きに反射させ、対物レンズによって集光する。 また、微粒子を空気中でトラップさせるため機能発生器でガラスプレートに振動を起こすことで、微粒子とプレート間に生じる分子間力を取り除く。

PAL-SLM を用いたレーザートラッピング

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目的

本研究の目的は、PAL-ALM(平行配向液晶空間位相変調器)を用いてレーザーの位相変調を行い、レーザートラッピングの走査を行うことである。

本研究においてわれわれは、位相変調を得る方法としてPAL-SLM を用いた。PAL-SLM はコンピュータから入力された濃淡画像によって位相変調を行うことができる。PAL-SLM の入射口は768×768 の画素数となっており、ピクセルごとの位相変調が可能となっているため、入力する濃淡画像のパターンを変えることによってレーザーとラッピングにおける走査が可能となるのである。

原理

PAL-ALM の構造、動作原理について説明する。まず構造であるが、図1のように、平行配向ネマティック液晶、内側がITO 電極で覆われているガラス板、誘電ミラー、アモルファスシリコン(α-Si) で構成されている。液晶分子は米粒のような形状をしている。電場を与えると電場の方向に向かって倒れる性質があり、ネマティック液晶は電場を与えない状態で液晶分子を平行に整列させてあるものである。また、α-Si は照明するとインピーダンスが下がるという性質を持っている。動作原理であるが、入力画像の濃淡によりα-Si への書き込み光の強さを変化させることにより液晶層に加わる電圧をピクセルごとに制御している。書き込み光を加えることにより液晶層に与えられる電圧が増加し、液晶分子は横になり屈折率の影響が少なくなるため位相変調を得ることができるのである。



実験装置


図3に表したものが本研究で使用している光学系である。YAGレーザーは偏光子を用いることでPAL-SLMの液晶分子の配列と平行な偏向方向にかえられている。ビームエキスパンダーによって拡張されたたレーザーはビームスプリッターを通り、PAL-SLMに入射される。PAL-SLMからの反射光は再びビームスプリッターを通りミラーで下げられ、対物レンズによって集光されステージ上でレーザーとラッピングを行っている。レーザートラッピングの走査はPAL-SLMにコンピュータから入力されている濃淡画像の種類を変えることによって行われる。